今回の代替わり期間の報道から

報道にも、いくつか心に残るものがありました。引用し紹介します。

東京新聞の5月2日の「こちら特報部」では、「象徴天皇を考える」として研究者の発言が紹介されています。

東京新聞2019年5月2日

明仁上皇が「象徴天皇像を自ら設計し、演出し、主演した」「平成は象徴天皇制が再編された時代だったといえる」「象徴は……一人の人間が担うのはそもそも無理がある」人間である天皇を象徴としたために「憲法は象徴天皇を『国民の総意』と強弁せざるをえなかった」千本秀樹筑波大学名誉教授(現代史)

「天皇が代わるたびに象徴の中身も変わりかねないという問題もある」「本来はそうならないよう主権者の国民側が法律を作り『象徴』に枠をはめるべき。ただ国会もマスコミも自由な意見を言える雰囲気がない。天皇の行為に対するチェック機能が欠けている」山田朗明治大学教授(近現代史)

平成の天皇皇后による「象徴行為」が国民に受け入れられた背景として「主権者意識の喪失がある」「天皇皇后に声をかけられたからといって生身の人間が直面する問題が本質的に解決することはない」「人間が安心できる相互扶助の仕組みをつくるのは、私たち主権者」太田昌国(民族問題評論家)

朝日新聞の5月6日の大阪版には、4月から5月に大阪で開催された集会が記事となって紹介されています。

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朝日新聞2019年5月6日

「メディアを通して見る日本は、いつから単色になったのかと問う人があった。
平成から令和へ変わる前後、束ねられる人ばかりではないことを示す集会が、大阪市だけでもいくつかあった」「4月12日にあった集いで講師を務めた上杉聡・日本の戦争責任資料センター事務局長は『“特別な人”を持たずに話し合いで解決策を求める力がないならば、民主主義が骨の髄まで入っていないということ』と語った」

「4月30日は天皇の退位に、5月1日には即位に反対する集会があった」「『朝から晩までテレビは万歳フィーバー』『今日の新聞を見て目を疑った』とメディア批判を参加者は口々に語った。高校教師は『小さな意見を取りあげて議論を重ねるのが民主主義。小さな意見を消すのが今の報道だ』と怒った」

メディアへの失望がしばしば語られる現在、こうした報道と、記者を応援するのも意味があることだと思います。報道に共感された方は、編集部にメッセージを。